2018年09月21日
こんにちは。
以前「HACCP(ハサップ)の管理基準の設定方法について「事例2」」の中で、
管理基準(Critical Limit)と製造基準(Operation Limit)について出てきました。
製造現場にHACCP(ハサップ)を導入した際に混乱してしまうことがあるので、
少し補足します。
本来、管理基準と製造基準は同一であることが望ましいのですが、以下の違いによってギャップがあります。
- HACCP(ハサップ)という管理基準が「食品の安全性確保」に特化している
- 製造現場での品質管理が「衛生と品質(色、形、味など)の両方の管理」を同時を求められる
管理基準とは、その基準を逸脱してしまうと危害を及ぼす恐れのある管理限界です。
この管理基準は、設定時にある程度の安全率を考慮して設定されますが、
一部の例外的基準を除くと、原則的には上限、下限といった幅を持たせたものではありません。
しかし、加熱工程は有害微生物の排除と同時に、食品の調理加工をするものですので、
製造時には過加熱による品質不良にも配慮して管理する必要があります。
例えば、加熱殺菌の中心品温の管理基準を70℃以上としたとき、
製造現場では70℃以下に中心品温が低下しないように下限の温度を72℃と設定し、
また過加熱によって品質を損なわないように上限の温度を75℃までと設定します。
このことにより、安全でおいしい食品ができ上がります。
この製造基準を逸脱するおそれが生じた場合、適切な処理を取ることになりますが、
これを作業調整と呼び、作業調整するための基準を作業限界(Operating Limit)といいます。
作業限界は通常、製造基準として設定され、
管理基準を逸脱する可能性をできるだけ早いタイミングで予知し、
作業調整することにより不良品の発生を防止することができます。
なお、管理基準を逸脱したときの処置は修正処置といいます。