賃金と債務の相殺2

2015年07月17日

こんにちは。

社会保険労務士中井事務所の中井です。

 

昨日は間違えて給与を過払いしてしまった場合の相殺について書きました。

今日は、従業員がミスをした場合の賃金との相殺について書きます。

従業員がミスをして会社に損失を与えてしまった場合、その分給与から差し引くことができるのでしょうか。

例えば飲食店でアルバイトが食品を運ぶ途中で落としてしまった、食器を割ってしまったというような場合です。

経営者としては当然差し引きたいところかもしれません。

しかし、こちらについては認められていません。

通常、従業員に求められる注意義務を尽くしている場合には、ミスをしても損害賠償義務は発生しません。

また、些細な不注意により損害が発生したとしても、この損害の発生が日常的に発生するようなものである場合には、損害賠償義務は発生しないと考えられています。

このような損害は、使用者は当然予見できるものであり、労働者を使用して利益をあげている以上、そのリスクは使用者が甘受すべきものと考えられているのです。

仕方のないミスについては人を使う以上大目に見ないといけませんよ!ということです。

アルバイト店員がミスをして食品を無駄にしてしまったとしても、

それを買い取らせて給与から差し引くことは出来ませんので、ご注意ください。