2024年01月24日
こんにちは。
先日、兵庫県伊丹市の方が障害年金の請求のご相談にお見えになりました。
双極性障害になり家族の支えで生活をしてきましたが、病歴も長くなり改善しないため障害年金の請求をしようと考えましたが、どのように動けばいいかわからないとのことでした。
双極性障害は障害年金の認定の対象とされています。
双極性障害は、日本においては1000人に4〜7人くらいがかかると言われており、弊所でも相談の多い傷病です。
双極性障害は障害年金の認定の対象とされています。
ここでは、双極性障害での障害年金請求について、整理していきましょう。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう。
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
初診日要件
原則として初診日に公的年金に加入していること
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
この「初診日」によって、いずれを請求できるかが決まります。
種類 |
対象となる人 |
障害基礎年金 |
・「初診日」に国民年金に加入していた人 ・20歳未満の年金未加入期間に初診日がある方 ・60歳以上65歳未満の年金未加入期間に初診日がある方 |
障害厚生年金 |
「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 |
※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します。
保険料納付要件
以下のいずれかを「初診日の前日」の時点で満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
※20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
難しく書いていますが、「ある程度年金を払っていないとダメ」とお考え下さい。
弊所でサポートをさせていただく場合は、保険料納付要件を満たしているかも確認します。
以下からお問い合わせください。
このふたつの要件を満たしていれば障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
初診日の特定が重要!!
先ほどから「初診日」というワードが度々出てきていますが、この「初診日」が障害年金の請求においてはものすごく重要です。
初診日を確定できないと、
- 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
- 保険料納付要件を満たしているか。
- 障害認定日(障害の状態の審査を受けるべき日)はいつか。
を決めることができません。
これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。
初診日は、「初診日が特定できないから障害年金をもらえない!!」という事態が発生するほど重要です。
初診日は、原則としてカルテに基づいて医療機関に証明していただきます。
カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。
医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。
自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。
初診日の確定のために探偵のようになります。
では、どんな状態なら障害年金を受給できるかをみていきましょう。
どんな状態なら双極性障害で障害年金を受給できるか
障害年金は障害の状態、程度に応じて等級が決められます。
▼障害基礎年金
1級、2級
▼障害厚生年金
1級、2級、3級
障害が重い順に、1級、2級、3級となり、受給額も多い順に1級、2級、3級となります。
双極性障害の認定基準
障害の程度 |
障害の状態 |
1級 |
高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの |
2級 |
気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの |
難しい基準になっていますが、おおまかには以下のように考えればいいでしょう。
1級 |
常時の援助が必要なもの |
2級 |
日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
労働が制限を受けるもの |
上記障害等級に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
「自分は障害年金をもらえるだろうか」「どの等級に該当するだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
どのように審査されるか。
「現在の症状」はもちろん重要な審査の対象です。
しかし、気分(感情)障害は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものです。
そのため、現在の症状のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮されます。
また、日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、「社会的な適応性の程度」によって判断するよう努められています。
つまり、「どれだけ日常生活で困っているか」に主眼をおいて判断されます。
「双極性障害で働いていたら障害年金をもらえない?」
双極性障害で働いている方の場合は、その療養状況を考慮するとともに、
- 仕事の種類、内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
「働いていたら障害年金はもらえない!」とは限りません。
実際に障害年金を受給しながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。
「自分は働いているけど障害年金をもらえるだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
それでは、障害年金の受給額を確認しましょう。
障害年金の受給額
障害等級 |
障害基礎年金 |
障害厚生年金 |
1級 |
年993,750円 |
年993,750円+報酬比例の年金額×1.25 |
2級 |
年795,000円 |
年795,000円+報酬比例の年金額 |
3級 |
− |
報酬比例の年金額(最低保障額596,300円) |
障害年金だけで悠々自適、贅沢三昧とはいきませんが、これからの生活の助けとなるでしょう。
以下で受給事例を紹介します。
事例:双極性障害(働きながら認定を得られた事例)
この方は3年前に双極性障害と診断されました。当時は正社員で働いており現在もお仕事を続けていました。
しかし、体調は思わしくなく「このままではリストラされるのではないか」と強い不安を感じ障害年金の請求を検討しました。
インターネットで情報を集めるうちに「15万円以上給与があったら障害年金はもらえないのではないか」と考え、弊所にご相談くださいました。
傷病名 |
双極性障害 |
障害の状態 |
倦怠感、疲労感、抑うつ症状が続いている。気分高揚時には暴言や暴力等感情を抑えられない。 |
就労状況 |
正社員として8年勤務、給与は月約28万円。 |
精神障害者保健福祉手帳の等級 |
精神障害者保健福祉手帳3級 |
労働能力及び日常生活能力 |
日常生活では家族のサポートが不可欠。労働能力は低下している。 |
予後 |
不詳。 |
認定が得られた障害年金の等級 |
障害厚生年金3級 |
障害年金の受給額 |
年額約58万円 |
本事例のポイント |
就労しており、給与額も低くなかった。 |
「15万円以上給与があったら障害年金をもらえない?」
「働いていたら障害年金はもらえない」「○○円以上給与があったらもらえない」という情報もあるようですが、「働いていたら障害年金はもらえない!」とは限りません。
また、給与額によって受給の可否が決まるものでもありません。
双極性障害で働いている場合は、その療養状況を考慮するとともに、
- 仕事の種類、内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
障害者雇用やA型作業所、B型作業所に通所している場合
障害者雇用やA型作業所、B型作業所による就労については、相当程度の援助を受けて就労していることが考えられるため、1級または2級の可能性が検討されます。
一般企業で働いている場合
一般企業での就労を継続している場合でも、安定した就労ができているかどうかや、発病前と後の仕事内容が大きく変わっていないか等を考慮されます。
実際に障害年金を受給しながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。
「自分は働いているけど障害年金をもらえるだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
請求サポートさせていただき、無事支給となりました。
この方は、確かに給与額は低くありませんでしたが、仕事は以前より平易なものに変えてもらっていました。
日常生活においても、家族のサポートが必要な状態でした。
こうした考慮していただきたい内容をしっかりと請求書類に落とし込み、請求しました。
結果、障害厚生年金3級を受給することができました。
給与額が低くないことを心配しておられたので、大変喜んでおられました。
他の事例もご参照ください。
障害年金の審査について
障害年金の審査はすべて書面で行われます。
面接はありません。
そのため、審査で考慮されることを余すことなく書面で伝える必要があります。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類がうまく作成できなかったためにもらえないというのは、大変もったいないことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。
そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。
自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。
病歴・就労状況等申立書について
「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、症状や生活状況が、障害年金の認定基準を満たすことを申し立てるものです。
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
ご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
★お気軽にお問合せください。★
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
こちらでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
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