2024年01月29日
こんにちは。
先日、西宮市の発達障害の方がご相談にお見えになりました。
発達障害と診断されて治療をしてきましたが、仕事もうまくいかないため障害年金の請求をしようと考えたのですが、どのように動けばいいかわからないとのことでした。
発達障害は障害年金の認定の対象とされています。
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいいます。
厚生労働省の2016年の調査では、医師から発達障害だと診断を受けた人は国内に48万人以上いると推計されており、弊所でも非常に相談の多い傷病です。
発達障害は障害年金の認定の対象とされています。
ここでは、発達障害での障害年金請求について、整理していきましょう。
障害の状態の前に、請求の条件を確認しましょう。
障害年金を請求するためには以下の要件を満たしていることが前提となります。
初診日要件
原則として初診日に公的年金に加入していること
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
この「初診日」によって、いずれを請求できるかが決まります。
種類 |
対象となる人 |
障害基礎年金 |
・「初診日」に国民年金に加入していた人 ・20歳未満の年金未加入期間に初診日がある方 ・60歳以上65歳未満の年金未加入期間に初診日がある方 |
障害厚生年金 |
「初診日」が厚生年金保険加入中にある人 |
※「初診日」とは、「病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日」を指します。
発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が 20 歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とされます。
保険料納付要件
以下のいずれかを「初診日の前日」の時点で満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
※20歳前の公的年金未加入期間に初診日がある方は、保険料納付要件は問われません。
難しく書いていますが、「ある程度年金を払っていないとダメ」とお考え下さい。
弊所でサポートをさせていただく場合は、保険料納付要件を満たしているかも確認します。
以下からお問い合わせください。
このふたつの要件を満たしていれば障害年金を請求することができ、障害の状態が基準に該当しているかどうか、審査を受けることができます。
初診日の特定が重要!!
先ほどから「初診日」というワードが度々出てきていますが、この「初診日」が障害年金の請求においてはものすごく重要です。
初診日を確定できないと、
- 障害基礎年金の請求か、障害厚生年金の請求か。
- 保険料納付要件を満たしているか。
- 障害認定日(障害の状態の審査を受けるべき日)はいつか。
を決めることができません。
これは、どんなに現在の障害の状態が重くても、障害年金の請求手続きすべてが止まってしまうことを意味します。
初診日は、「初診日が特定できないから障害年金をもらえない!!」という事態が発生するほど重要です。
初診日は、原則としてカルテに基づいて医療機関に証明していただきます。カルテの保存期間は法律上5年間ですので、初診日に受診した医療機関にいかなくなってから5年以上経っている場合はカルテが破棄されていることがあります。
医療機関によっては5年より長い保存時間を定めているところもありますので、まずは連絡して確認しましょう。
自分ひとりでは初診日が分からない、確定できないという方はご相談ください。
では、どんな状態なら障害年金を受給できるかをみていきましょう。
どんな状態なら発達障害で障害年金を受給できるか
障害年金は障害の状態、程度に応じて等級が決められます。
▼障害基礎年金
1級、2級
▼障害厚生年金
1級、2級、3級
障害が重い順に、1級、2級、3級となり、受給額も多い順に1級、2級、3級となります。
発達障害の認定基準
障害の程度 |
障害の状態 |
1級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの |
3級 |
発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの |
難しい基準になっていますが、おおまかには以下のように考えればいいでしょう。
1級 |
常時の援助が必要なもの |
2級 |
日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
労働が制限を受けるもの |
上記障害等級に該当すると判断されれば、障害年金を受給することができます。
「自分は障害年金をもらえるだろうか」「どの等級に該当するだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
どのように審査されるか。
発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定が行われます。
日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
つまり、「どれだけ日常生活で困っているか」に主眼をおいて判断されます。
また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
「発達障害で働いていたら障害年金をもらえない?」
就労支援施設や小規模作業所などに参加する方に限らず、一般就労をしている方であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している場合も多いでしょう。
そのため、働いていることだけでただちに日常生活能力が向上したものとは捉えません。
発達障害で働いている方の場合は、その療養状況を考慮するとともに、
- 仕事の種類、内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
等を十分確認したうえで日常生活能力を判断されます。
「働いていたら障害年金はもらえない!」とは限りません。
実際に障害年金を受給しながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。
「自分は働いているけど障害年金をもらえるだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
それでは、障害年金の受給額を確認しましょう。
障害年金の受給額
障害等級 |
障害基礎年金 |
障害厚生年金 |
1級 |
年993,750円 |
年993,750円+報酬比例の年金額×1.25 |
2級 |
年795,000円 |
年795,000円+報酬比例の年金額 |
3級 |
− |
報酬比例の年金額(最低保障額596,300円) |
障害年金だけで悠々自適、贅沢三昧とはいきませんが、これからの生活の助けとなるでしょう。
以下で受給事例を紹介します。
事例:広汎性発達障害(働きながら認定を得られた事例)
この方は幼少期より対人関係の構築が難しく、それは、成人してからも続きました。
就職をしても上司の指示が理解できず、失敗を繰り返し、職を転々としました。
現在は就労移行支援事業所を経て障害者雇用にて勤めており、障害年金の請求を検討されました。
しかし、職を転々としながらも間をあけることなく働いていましたので、「働き続けていたら障害年金はもらえないのではないか」とご不安になり、弊所にご相談くださいました。
傷病名 |
広汎性発達障害 |
障害の状態 |
職場での人間関係が構築できない。物事を応用することができず混乱する。 |
就労状況 |
障害者雇用にて勤続1年。給与は月約18万円 |
精神障害者保健福祉手帳の等級 |
精神障害者保健福祉手帳3級 |
労働能力及び日常生活能力 |
労働能力は軽作業のみ。日常生活の多くの場面に指導や援助が必要。 |
予後 |
継続する。 |
認定が得られた障害年金の等級 |
障害厚生年金3級 |
障害年金の受給額 |
年額約58万円 |
本事例のポイント |
就労移行支援事業所に通所していることに不安を感じておられました。 |
働いていたとしても障害年金をもらえる可能性があります。
実際に精神の障害については、28.28%の方々が働きながら受給しています。
「働いている=障害年金はもらえない」ではありません。
障害年金の審査では、日常生活能力を中心に審査をされます。
働いている場合は、以下についても考慮されます。
- 仕事の種類、内容
- 就労状況
- 仕事場で受けている援助の内容
- 他の従業員との意思疎通の状況
障害者雇用やA型作業所、B型作業所、就労移行支援事業所に通所している場合
就労継続支援A型、就労継続支援B型や就労移行支援事業所に通所されている場合や障害者雇用で働いている場合は、1級または2級の可能性を検討されます。
一般企業や自営業で働いている場合
一般企業や自営・家業等で働いている場合は、就労系障害福祉サービスや受けている支援や援助の状況、仕事内容等によって2級の可能性を検討されます。
実際に障害年金を受給しながら働いている方はたくさんいらっしゃいます。
「自分は働いているけど障害年金をもらえるだろうか」「就労移行支援事業所に通所しているけど障害年金をもらえるだろうか」とご不安な方は、以下からお問い合わせください。
請求サポートさせていただき、無事支給となりました。
詳細に聞き取りをしたところ、上司からの指示を受けやすい環境下で仕事の内容も単純なものに限定されていました。
日常生活も家族のサポートを受けていました。
こうした考慮していただきたいことをしっかりと請求書類に落とし込み、請求をしました。
結果、障害厚生年金3級を受給することができました。
「間をあけずに働き続けているから障害年金をもらえないのではないか」と強い不安を持っておられたので、大変喜んでおられました。
他の事例もご参照ください。
障害年金の審査について
障害年金の審査はすべて書面で行われます。
面接はありません。
そのため、審査で考慮されることを余すことなく書面で伝える必要があります。
本当は障害年金を受給できる状態なのに、書類がうまく作成できなかったためにもらえないというのは、大変もったいないことです。
障害の状態の審査には、主に「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」が使用されます。
診断書について
障害年金を請求するための診断書は、治療のための医学的な診断書ではなく、生活に必要な所得保障のための社会医学的な診断書です。
そのため、病気やけがなどによって日常生活にどれくらい影響を及ぼしているかがわかるように作成いただくことが大切です。
自分一人でお医者様に伝えることが難しい場合は、お医者様に伝えるべきポイントを整理するようサポート致しますのでお問い合わせください。
病歴・就労状況等申立書について
「発病から現在までの病状・治療の流れ」「日常生活の様子」を記述し、症状や生活状況が、障害年金の認定基準を満たすことを申し立てるものです。
ただでさえ障害を抱えて大変な状況なのに、時間と精神的・体力的な負担がかかる作業になるおそれがあります。
ご相談いただければ、代筆いたします。
障害年金を受給するために
障害年金の申請は、国民年金法・厚生年金法や認定基準等をご存じない方がひとりで対応するには限界があります。
ご自分の生活がかかった大切なことなので、専門家である社労士に知識・経験を求めるのが最善の選択です。
「事務手数料の2万円を支払うのが惜しくて、とりあえず自分でやってみたけど不支給だった。なんとかしてください」というご相談をいただくケースがあります。
当然その時点からできる限りのサポートをさせていただくのですが、事後重症請求の方の場合、1か月請求が遅くなれば、障害基礎年金2級なら毎月約6万5千円ずつ捨てていくことになります。
最初にかかる2万円の事務手数料を惜しんだばかりに、障害年金の受け取りが数か月遅くなっては本末転倒です。
一人でわけも分からず不安いっぱいで戦うのではなく、あなたの代理人となって受給に向けて取り組んでくれる専門家である社労士を味方につけてください。
★お気軽にお問合せください。★
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
こちらでは1分で障害年金をもらえるか、カンタン査定をいたします。
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